DB Stories

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Scality社(Magic Quadrant「分散ファイルシステム、オブジェクトストレージ」)

前回の記事の続きです。

まずは一番気になるScalityについて良くまとまっているので紹介しておきます。 引用元

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Scality社のHP

 Scalityはオブジェクトストレージとスケールアウト型ファイルベースストレージの開発を行う非公開のベンチャー企業で、R&Dをフランスでおこない販売とマーケティングをシリコンバレーで行っています。初版のリリースは2010年に行われたScality Ringはスケールアウト、peer-to-peer、分散、シェアードナッシングというキーワードを持つソフトウェアでx86互換ハードウェアに導入が可能です。HPEとDellが公式代理店となっています。2015年末にはHPEはScality社に出資を行っています。Scality Ringは100社以上のサービスプロバイダ、公共部門、生命科学、金融業、研究機関、大企業といった顧客を持ちます。Ringはe-mailサーバ、コンテンツ配布、アクティブアーカイブ、プライベートクラウドストレージといった用途に利用されています。

 Ringは効率的な拡張性と障害に対するシングルポイント(SPOF)を持たず、peer-to-peer技術を利用しています。イレイジャーコーディング(Erasure coding)とレプリケーション(Replication)が可能です。Ringは標準的なLinuxディストリビューションカーネル上で稼働し、標準的なオブジェクト(Amazon S3, CDMI, NFS, SMB, FUSE)とOpen Stack(Swift, Glance, Cinder)をサポートします。他の競合製品と異なり、RingはRing内のストレージとfile connectorサーバを通じて、標準的なファイルシステムアクセスをサポートします。ほかのオブジェクトストレージ製品とは異なり、外部からのgateway製品の利用なしに、仮想的なファイルシステムの提供が可能となります。  

 Ringは強大な複数のペタバイトクラスの地理的な分散サイト(東京とシンガポールといった国をまたぐという意味で)の構成に適しており、ある顧客においては20PBの運用が行われています。Scalityは製品改良を続けており、特に小規模ファイルやランダムI/Oといったワークロードに対しての改善を続けています。最近のリリースにおいて、Ringはファイルシステム機能についての「自動フェイルオーバー」「複数のユーザーからの同一ファイルシステムディレクトリに対する更新」といった機能の強化に取り組んでいます。Scality S3 APIは企業ユーザー向けのユーザーグループが必要とするマルチテナント利用を前提としたMicrosoft Active DirectoryやAWS IAMの利用をサポート出来るようになっています。

【強み】

  • 商流としてのパートナーシップとOEM供給と言う点でDELLやHPE社との関係性がある。
  • Ringは企業ユーザーが必要とするUnified(ファイルとオブジェクト双方についての)プラットフォームを提供する。
  • Ringは小さいファイルを扱うさいのパフォーマンスに優れ、非構造化データを扱う伝統的なNASの置き換えを狙うことができる。

【注意点】

  • 北米における顧客サポートは高いセールスの伸びと2015年のScality社の体制変更により影響を受ける
  • Ringは激しいメタデータの更新やランダムアクセスが発生する一般的なNASの置き換えを目的として設計はしておらず、エンタープライズNASの持つsnapshotやNFS v4対応といったものはサポートしていない。
  • ScalityはApplianceといった形式での販売をしていない最大の独立系分散ファイルシステムとオブジェクトストレージのベンダーです。そのため、巨大企業からの買収のターゲットとなる可能性がある。

ソフトウェアの提供にこだわって開発を続けていて、販売代理店であるDellやHPEがHW構成を提案するといった形態をとっています。 S3互換機能の提供というのはプライベートクラウドとしては面白く、その検証版についてはOSSとして公開されています。

アーキテクチャについていろいろ調べてみたので、詳細はまた次回にします。