DB Stories

DBに関する過去、現在、未来の話題をプロフェッショナルの視点で紹介

IBM(Magic Quadrant「分散ファイルシステム、オブジェクトストレージ」)(3)

引き続き、各製品群を見ていくことにします。 www.dbstories.com

IBM

IBMは2つの製品が存在しています。

Spectrum Scale

General Parallel File System(GPFS)をベースとしているで、1990年代からの歴史のある製品です。GPFS自体は名前を聞いたことがあるのですが、HPC(High Performance Computing)分野での利用のため限定的でクローズなイメージがあったのですが、オブジェクトストレージとしての適用に分野を広げているようです。IBM 製品サイト

技術紹介サイトIBM DeveloperWorks Spectrum Scale(旧GPFS))にあるデータを読んでみると、ファイルシステムの拡張性を追求してきただけあってさすがに高機能です。POSIXアクセスやILM機能などは伝統を感じます。反面、今風のオブジェクトストレージとしてはtoo muchな感じの印象も受けますが…。

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  • POSIX API準拠 Spectrum Scaleへのアクセスに特殊なAPIは不要で、ローカルディスクなどと同様にI/Oが可能
  • 最大256世代のsnapshotサポート
  • ユーザー/グループ/サブディレクトリ レベルでのクォータ設定
  • Information Lifecycle Management(ILM) ストレージ・プール、ポリシーを利用したファイル配置、マイグレーション、保存、および削除ができ、テープを含む複数層のストレージ管理が可能
  • Cluster Export Service (CES) Spectrum ScaleのファイルシステムをNFS/Samba/Swiftを利用して共有可能
  • 暗号化 Spectrum Scale Advanced Editionの機能としてファイルシステムの暗号化を提供

IBM Cloud Object Storage

2015年4Qに買収したCleversafeをベースにしています。IBM 製品サイト こちらはそもそもがオブジェクトストレージを由来としているのでS3とSwift APIがサポートされています。

IBM Cloud Object Storage delivers a differentiated way to secure data at rest. It's all or nothing (AONT) encryption is integrated with its information dispersal algorithm to lower the potential for data breaches

イレイジャーコーディングは当然サポートされているのですが、上記にあるように暗号化において工夫がされているようです。Publickey 新分散オブジェクトストレージサービス「IBM Cloud Object Storage」発表 に少しだけ解説がありました。

IBM Cloud Object Storageの大きな特長は、保存するデータを暗号化した上で複数の断片に分割。それぞれの断片に誤り訂正符号を付加した上で異なるサーバやデータセンターに分散して保持する点にあります。 これにより、万が一データの断片が漏洩したとしても全体を復号することはできず、高いセキュリティを実現すると同時に、万が一データの断片のいくつかが事故で失われたとしてもデータ全体を復号可能にする耐障害性や冗長性を同時に実現しています。 新分散オブジェクトストレージサービス「IBM Cloud Object Storage」発表。データを暗号化し分散。一部が失われても復元可能。買収したCleversafeをベースに - Publickey

CleversafeについてはIBM SoftLayer部門(SoftLayer自体2013年にIBMが買収)が買収していることからクラウドサービスとしての提供が優先される可能性が高いのは多少意識しておく必要があります。(SoftLayerも今はBluemixブランドに統合されました)